長らく愛読してきた「世界のオーケストラ123」(1993年発行)もさすがに情報が不足してきて最近は開かなくなってきていた。
先日書店で「世界の名門オーケストラ」を開いてみて特にドイツのオーケストラの合併・名称の変貌ぶりが激しくこれは整理しておく必要があると思い購入。
北ドイツ放送交響楽団のNDRエルプ・フィルハーモニー管弦楽団、フランクフルト放送交響楽団のhr交響楽団、ライプツィヒ放送交響楽団のMDR交響楽団などは、もはや名称を見ただけでは全く判別できない。
そういう意味でもオーケストラ・ファンとしてはまさに必携の内容かもしれない。
不動の名門ウィーン・フィル、ベルリン・フィルの情報はもとより、過去から現在のオーケストラの成長や変遷がわかり面白い。
個人的には旧版に入っていなかったフィンランドのラハティ交響楽団が入っているのもとても納得できるが、モスクワ・フィルが巻末の方の「世界の様々な〜」に名称のみに格下げになっているなど、いろいろ思う部分はある。
あと、インタビュー「オーケストラを導く指揮者たち」の山田和樹さんのインタビューにとても感銘をうけた。
海外のオーケストラを指揮した経験を踏まえ日本のオーケストラについて、
互いの音をきくときも、ヨーロッパと聴き方がちがう気がします。
オーボエを聴いてというと、オーボエを聴こうとするのはもちろんなのですが、ヨーロッパではもっと全体の和声感、ハーモニーのなかでのオーボエを聴こうとします。和声感とはつまり色彩感であり、響の奥行きであり、フレーズを形作るものです。技術的には大変上手なのですが、キャラクターや個性の表出に弱いと言えるでしょうか。
(オーケストラを導く指揮者たち「山田和樹の笑顔のオーケストラを目指して」文・構成=山崎浩太郎 から引用)
読んだ時、そう、これだ!と思った。
日本のほとんどオーケストラを聴いて感じるのは音に色彩がないなということ。
技術力を磨くことはとても得意なのかもしれませんが、「感じる」という音楽の本質的な部分が抜け落ちている・・?
これは僕の個人的な感想。
言葉でここまでわかりやすく説明されていて素晴らしいなと思った。
マエストロ山田和樹さんの今後のご活躍を期待したい。