2015年11月29日(日)東京オペラシティ タケミツメモリアル
生誕150年記念シベリウス交響曲サイクル(最終日)
シベリウス:
交響曲第5番変ホ長調作品82
交響曲第6番ニ短調作品104
交響曲第7番ハ長調作品105
オッコ・カム:指揮
ラハティ交響楽団
11/3のリントゥ&フィンランド放送交響楽団につづき、フィンランドのラハティ交響楽団を聴きいた。
ラハティ交響楽団は90年代に指揮者オスモ・ヴァンスカのもとスウェーデンのBISレーベルへのシベリウスのヴァイオリン協奏曲のレコーディングが特に印象に残っている。
当時全く無名のオーケストラだったが北欧の田舎町のオーケストラということでどんな音色をもった団体なのかとても興味深く聴いたのを思い出す。
その後、シベリウスの交響曲チクルスでも来日しているが、その当時の私はまだシベリウスの音楽にそれほど心酔していなかった。
交響曲は1番から3番までしか聴き進められなかったのだが、それが数年前にカラヤンの指揮するフィルハーモニア管弦楽団による「第5番」のモノラル盤アナログ・ディスクがきっかけだった。
第3楽章ラストのクライマックスを初めて聴いた時の衝撃といったら!
この後しばらくして「6番」「7番」はわりとすんなり自分の中に入ってきた。
北の自然を感じさせる固く険しい楽想、それとは裏腹な暖かい自然の温もりを感じさせる楽想、そして我々日本人が聴いても懐かしい気持ちになる独特の節回し、これらが瞬間瞬間で切り替わっていく。
「5番」を聴いてシベリウスの音楽の魅力に一気に開眼した。
一度実演で聴きたいと思っていたのだが、この日は「5番」から「7番」まで一気に聴ける貴重な機会となった。
交響曲サイクル最終日ということもあってホールはほぼ満席。
「5番」冒頭の日の出の瞬間をとらえたようなホルンからシルバートーンのシベリウスサウンドが広がる。
透き通るような弦のトレモロや柔らかい木管の響きなど明らかに他のオーケストラとは異なる魅力的な音色をもっている。
オッコ・カムの棒はヴァンスカとは異なり自然な音作りを感じさせるものだった。
第3楽章ラストもカラヤンやバーンスタインのようなマッシブさはないが大仰な感じのない大らかな音楽。
比較的編成の小さいオーケストラから、宇宙を感じさせるような雄大な音楽が展開されるのは、やはりシベリウスのスコアが緻密に計算されたものになっているからなんだろう。
休憩を挟んでの「6番」「7番」も素晴らしく、とても満たされた気持ちになった。
アンコールの後も会場の拍手はなかなか鳴り止まなかった。
さて、このブログ「琴線音楽」も10年。
その間、震災など様々なことがあり私の身の回りの状況、そして自分自身も以前とは変わった。
「琴線に触れる音楽」という右脳的感覚は変わることはないが、単なる快楽主義的嗜好から自分の中にも変化を感じている。
シベリウスの音楽との体験もきっと単なる偶然ではなく、自分の心の状態と関係しているように思う。