タグ : Rachmaninov

今年もまた夏が終わる・・・スヴェトラーノフ/ピアノ協奏曲ハ短調


スヴェトラーノフ:ピアノ協奏曲ハ短調
ウラジミール・オフチニコフ(ピアノ)
アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮)
サンクトペテルブルク・アカデミー交響楽団

今年も夏が終わる・・。
今年の夏は本当に暑かった。環境問題とかいろいろ考えさせられた。
ついつい我慢ができずにエアコンをつけてしまうのだけど、地球規模で異常事態が起きていることを考えると心が痛んだ。

今年の夏の終わりは、スヴェトラーノフの”哀愁の”ピアノ協奏曲で。

指揮者としてのスヴェトラーノフの熱くスケールが大きく激しく豪快な演奏スタイルは有名で、僕もCDを聴いたり実演に1度だけだが接しているから少しは知っているつもりだが、作曲家としてのスヴェトラーノフはほとんど知らなかった。

このピアノ協奏曲は、ものすごくロマンチックでメロディックな音楽だ。
指揮者スヴェトラーノフが最も得意としていた作曲家の一人、ラフマニノフの影響が色濃く出ている。
近現代の作曲家の多くが調性のない実験的なサウンドに走るなか、スヴェトラーノフは後期ロマン派的な音楽を守り続けた決して多数派ではない作曲家の中の一人だろう。

このCDはスヴェトラーノフ氏が亡くなった翌年2003年サンクトペテルブルクでのライヴ録音だが、演奏が素晴らしい。
オフチニコフの繊細なピアノとドミトリエフ指揮のサンクトペテルブルク・アカデミー響のゴツゴツしたダイナミックなサウンドがスヴェトラーノフの濃厚な男のロマンの世界を描ききっている。

カルロス・リラ 来日舞台挨拶~映画"This is BOSSA NOVA"

映画”This is BOSSA NOVA”8月4日(土)渋谷Q-AXシネマ

中原仁さんのサイトのフィードをチェックしていたら、ボサノヴァ創生期にジョアン・ジルベルトやジョビンらと活動をしていたカルロス・リラとホベルト・メネスカルが映画”This is BOSSA NOVA”のプロモーションで来日中と記事があった。

これはと思い上映館のサイトを見ると8/4にカルロス・リラ氏の舞台挨拶があり、そして「演奏予定あり」と記述が!
当日の朝、歌が聴ける可能性があるということもあって、あわてて劇場にtel。
まだチケットがあるということで舞台挨拶のある夕方の上映に足をはこんだ。

劇場内は立ち見が出る程の満員。
司会の方の紹介で、カルロス・リラ氏が登場。
青いシャツにグレーのジーンズととてもラフなスタイル。
71歳とは思えないぐらいスッとしていてわかわかしい。
“Voce E Eu” “Coisa Mais Linda”の2曲を歌ってくださいました。
あたりまえだけど、すごくよかった。

映画はカルロス・リラとホベルト・メネスカルによってボサノヴァ創生期を振り返るドキュメンタリー。
ジョアン・ドナート、ジョニー・アルフ、ジョイスなども出演。ジョビン、ジョアン、ヴィニシウス、アストラッドなどの貴重な映像なども見られた。
映画の構成とかはまあ置いといて、充分楽しめる内容だった。

映画の中で「ジャズはボサノヴァでもなんでも飲み込むけど、ボサノヴァは直接ジャズの影響を受けたわけではではない。フランスのラヴェルとかドビュッシーの影響が強い」と語られていたのが印象的だった。
それから息子のパウロ・ジョビン氏が「父はラフマニノフが好きで第2協奏曲を自分なりの弾き方でよく弾いていた。」と語っていた点も。

ブラジルの大作曲家、ヴィラ=ロボスもアントニオ・カルロス・ジョビンもフランスのラヴェルやドビュッシーの和声に強い影響を受けているのは聞いたことがあった。
ジョビンがラフマニノフを何度も弾いていたというのは、初めて知ったがすごく納得がいった。

ロシア=フランス=ブラジルは音楽の琴線で繋がっている!

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 5/5(土)


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
~民族のハーモニー~
5月5日(土)東京国際フォーラム ホール A

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
(pf:ボリス・ベレゾフスキー)
ムソルグスキー:交響詩「禿げ山の一夜」
ボロディン:
交響詩「中央アジアの草原にて」

ドミトリー・リス(指揮)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

2日のラフマニノフに続いて本日はボリス・ベレゾフスキーのピアノによる「パガニーニの主題による狂詩曲」。
オケも先日に引き続きリス&ウラル・フィル。
ホールはジョアン・ジルベルトのライヴで何度も足を運んだ東京国際フォーラム ホール A。
5000人収容できる大規模な多目的ホールだから音の期待はできない・・。
と思ったのだが、今日はホールとオーケストラについて新しい発見があった。

まず、ホールAについて。
思っていたよりも聴けた。少なくともホールCよりは。もちろん良くはなかったけどそれほど悪くはないかも。
渋谷のオーチャードホールに近いようなスカスカ感、中高域がシャリシャリ気味になるのは池袋の芸劇っぽいような。
ウラル・フィルについては先日「特徴の無い音」と書いたがちょっと違うかもしれない。
先日は7列目という前の方の席で第1ヴァイオリンの真ん前で聴いていたために全体の音が聴けなかった。
今日は2Fの中央の席で全体のブレンドされた音が聴けた。
今日感じたことを順にあげると、金管楽器はやっぱりノンヴィブラートなのだが音色がほのぐらいまるっこい音色。
木管楽器はオケの中で一番元気で明るい音色、ホルンのほのぐらい音色との相性がすごくいい。
弦楽セクションは線が細いがトーンとしてはやっぱりほの暗い音色。
ということで総合すると「ほの暗い音色」=「ロシアオケの基本トーン」ということなのかな?
ちょっと違うような気もするが、「特徴の無い音」ではない。
1000人ぐらい収容の小規模な室内楽をやるような、それでいて響きの良いホールでこのオケの演奏を聴いてみたいと思った。

で、メインのベレゾフスキーのラフマニノフだが洗練された現代的な(?)演奏だったと思う。
有名な第18変奏の部分も美しかった!この部分リスのタクト、リズムの揺らし方も良かった。
ムソルグスキーの交響詩「禿げ山の一夜」では、このロシアオケの底力を見せつけられるのでは?とちょっと期待をしたがいわゆる一般的な演奏だった。ホールのせいなのかわからないが音色がローカロリーな感じ。

展示ホール

ストラヴィンスキー:バレエ曲「春の祭典」
高関健(指揮)
桐朋学園大学オーケストラ

上に書いたラフマニノフを聴いた後、すぐに駆けつけたが2部の後半を演奏中。
ハルサイ(=春の祭典)といえば原始的なリズムと変拍子の連続、大暴れする打楽器群、吠えまくる金管楽器といった超難曲。
20世紀の管弦楽作品の中でも最重要作品とされるストラヴィンスキーの代表作だ。
実演に接するのは初めてだったが、さすが音大オケ、力強い素晴らしい演奏でした。
最後の「生贄の踊り」パーカッション、金管セクションの強奏には久しぶりに鳥肌が立った。
そうそうパーカッションは全員女性でしたね。
今日の一番の収穫はこの「ハルサイ」が聴けたこと、かな。

ドミトリー・リス(指揮)ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
~民族のハーモニー~
5月2日(水)東京国際フォーラム ホール C

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27
ドミトリー・リス(指揮)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

今年で3度目の開催となる音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへ出かけた。
この音楽祭は初めて。過去2度の音楽祭はそれぞれモーツァルト、ベードーヴェンと作曲家をテーマに開催していたためあまり興味が持てなかった。
今年はテーマが ~民族のハーモニー~ということでいろんな作曲家の作品を世界のオーケストラ、アーティストが演奏する。
公演プログラムもロシア、フランス、スペイン、北欧などの作曲家の作品など、音楽祭が行われる5日間にまとめて聴くことができる。
その中で、僕は本日のラフマニノフの「交響曲第2番」、少し間をおいて5日のラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、6日のフォーレの「レクイエム」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」の4公演のチケットを購入。
1公演あたりチケット料金も2000円程でお手軽だ。

で、本日のラフマニノフ、交響曲第2番。
ドミトリー・リス&ウラル・フィルというのは、ここ最近メジャー・レーベルからCDを発売しておりよく目にするようになったコンビ。
ウラル・フィルというのはロシアのウラル山脈の麓の街、エカテリンブルクという工業都市のオケだという。
いわゆる「ロシアの地方オケ」という意味ではどんな音がするのかとても興味があった。

演奏はとてもすばらしく、うまいオーケストラだった。
「地方オケ」なんて言い方がとても失礼な感じがするほど。
指揮者のリスも第1楽章から早めのテンポで小気味よく聴かせていく感じ。
とても見通しの良い、わかりやすいラフ2でした。
第3楽章のホルンのややほの暗い音色と木管セクションの音色がうまくブレンドされるあたりが特に素晴らしかった。
オーケストラ全体の音色としては特徴はない感じ。毎度ロシアオケに期待する金管セクションのビブラートもほぼゼロ。
何の情報もなしに聴いたらロシアのオーケストラだとは思わないかもしれない。それぐらい洗練された音色のする団体でした。
個人的には、もっとやんちゃな感じのするロシアオケを期待していたかも。
ちょっと1杯ひかっけて来ちゃいましたって感じの赤ら顔したでっぷりしたおっさんがトランペットかかえて出てくる、みたいな(笑)

それから国際フォーラムって何度か他のライヴで聴きに来てはいるけどクラシックはすこし厳しいかもしれません。
ホール Cでも響かない。結構デッドでドライな感じの音色。

アーノルド・カーツのラフマニノフ

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27

アーノルド・カーツ(指揮)
ノヴォシビルスク・アカデミー交響楽団

ラフマニノフの交響曲第2番はこないだスヴェトラーノフで書いたばかりだが素晴らしいCDがあったので再び。

ロシア・シベリアの都市ノヴォシビルスクのオーケストラ、ノヴォシビルスク・アカデミー交響楽団のラフマニノフ。
新譜で何故こんな地方都市のオケのCDが出ているのだろうと不思議に思いつつもとても気になっていた。
指揮者のアーノルド・カーツ氏は50年にもわたってこのオーケストラの音楽監督を務めている超ベテラン。
このコンビのCDはタネーエフの交響曲第4番を1枚だけ所有していて、とても力強い素晴らしい演奏をしていたのでとても期待して購入。

演奏はロシアのオーケストラらしい渋みのある音でありながらも非常に丁寧に歌うような音楽が展開されている。
スヴェトラーノフのラフマニノフとは一味も二味も違う演奏。
のっぺりとした、それでいて味のあるトランペット、くぐもったほの暗い音色にヴィブラートのかかったホルン、柔らかに歌う木管群、そしてシベリアの曇り空(見たことはないが想像)をおもわせる弦楽。
これは2005年の録音なのだが、まだロシアらしい音を持ったこんなにすごいオーケストラがあるということに嬉しくなった。
録音も素晴らしく(再生機器を持っていないのだがSACD)各楽器の音色がきちっととらえられている。
こんなに細部のパートがはっきり聴こえるラフマニノフの交響曲第2番は初めて。
例えば第1楽章後半の盛り上がり部分のティンパニとシンバル・大太鼓の打ち込み部分のリズムなど、こうなっていたんだと、新たな発見も多い。
同時収録のボヘミア奇想曲ではさらにこのオーケストラの持ち味であるロシアらしいサウンドが炸裂する名演!

だがしかし。
いろいろ検索をしていたら、指揮者のアーノルド・カーツ氏は今年の1月22日に亡くなっていることがわかった。
こんな名演に出会えて、ここのところ嬉しくて毎日聴いていただけにとてもショックだ。
アーノルド・カーツ氏なき後も、この素朴でありながらもロシアの大地を思わせる味わい深いサウンドが、このオーケストラからいつまでもなくならないことを祈りたい。