カテゴリー : Classical Music

スヴェトラーノフのチャイコフスキー

チャイコフスキー:交響曲第5番
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指揮)

ソビエト国立交響楽団

チャイコフスキーの交響曲の第5番はチャイコフスキーの交響曲の中で、聴き手側、演奏者側からも多分一番人気のある曲ではないかと思う。
レコーディングの数も半端でなく1人の指揮者が何度も録音するぐらい。
その中でもNo.1レコーディングではといわれているのがこの録音。
ソ連崩壊直前のエフゲニ・スヴェトラーノフ指揮のソビエト国立交響楽団、
1990年サントリーホールでのライブ録音盤。
買わなきゃと思いつつも、ずっと先送りにしてしまっていたが、昨日ようやく購入。

噂には聞いていたがやっぱすごい演奏。
「チャイコフスキーの音楽は正しくはこう演奏するのです」といった自信に満ちあふれた堂々とした演奏。
「世 界で一番大きな音を出す」といわれるこのオーケストラの音は重量級で、重心の低いどっしりとした濃厚な弦楽5部、時に劈くような恐ろしく鋭い音を出す金管 セクション、暴れまくるティンパニを始めとする超強力な打楽器群と、西ヨーロッパのウィーンとかベルリン辺りのオケとは比較にならない特別なもの。
このチャイコフスキーも、ダイナミックレンジが恐ろしく広く、ライブ本番1発録音ということもあり、もの凄いパワーと気合いで一気に聴かせる。
いやー、ほんと凄い演奏だな。
ちょっと前にゲルギエフ&ウィーン・フィルの同曲のライブ録音が話題になりましたが、いやはや比較の対象になりません。

それにしてもこれは東京はサントリーホールに於けるライブ録音。
実演に接した方がとても羨ましいです。
デジタル録音であるにもかかわらず、想定外の爆演のため音が修まりきってないところがありますが、これだけの素晴らしい音質でこの日の演奏が記録されたことは奇跡としか言いようがありません。
1960年代から約30年に渡って指揮をしたスヴェトラーノフ氏は2002年に亡くなりました。
このソビエト国立交響楽団(現ロシア国立交響楽団)もかつてのサウンド、演奏スタイルではなくなっているとか。
とても残念なことですが、時代の流れなのでしょうか。

ペーター・マークのブラームス/交響曲第1番

ペーター・マーク。スイス生まれの指揮者。
僕の中ではメンデルスゾーンの「スコットランド交響曲」の名演が有名な指揮者という認識だった。
僕が生まれた田舎町では、CDショップに出向いてもこれぐらいの情報しかなかったな。
実はモーツァルトのスペシャリストだとか。90年代のパドヴァ・ヴェネト管弦楽団と一連の録音を聴くまで全然知らなかった。
カラヤンとかバーンスタインだとか、いわゆる大指揮者のような派手さはないけど、この指揮者の産み出す音楽には人の心をつかむ何かがある。
とても好きな指揮者の1人に。

で、このブラームスも一般的な重厚でドイツ的な演奏とは違った温かさを感じさせる名演。
イタリアのオケだからだろうか、第3楽章なんか少しラテン的な明るさみたいなものも感じる。
今までの僕のお気に入り演奏はヴァント&北ドイツ放送SOだったが、これもなかなかいいな。
でもヴァントといいこのペーター・マークといいここ数年の間に次々と亡くなってしまった。
とても残念だが、これら残された貴重な録音を大切に聴き続けたい。

別宮貞雄/交響曲第1番(1961)

湯浅卓雄
別宮貞雄:交響曲第1番(1961)

◆アイルランド国立交響楽団
湯浅 卓雄(指揮)◆

Naxosの日本作曲家選輯から別宮貞雄(1922ー)【べっくさだお】日本の作曲家による交響曲。
今まで日本の作曲家の近現代の作品は全く聴いたことがなく、僕は初めてだ。
日本の作曲家というと、どうしても武満徹のイメージが強く旋律がはっきりしてなく調性のない音楽がほとんどだろうという先入感をもっていた。
でもこの先入観はかならずしもハズレているわけではないのではと思う。

20世紀初頭から前衛音楽(無調で実験的な傾向にある音楽)というものに注目があつまり評価が高まった。いくら旋律の美しい曲を書いても、そんなの古い、もっと新しい今までにない音楽を。
そういう傾向は世界的にそうであって、つい最近までそうだったようだ。
このブログでこの間とりあげたイギリスの作曲家フィンジ という人もそういう流れの中で、忘れられていった作曲家でそういう人はかなり沢山いるらしい。

前置きが長くなってしまったが、この別宮貞雄の交響曲はどうかというと、旋律はしっかりあってロマンティックで美しく、サウンドもダイナミックでカッコいい。
パリ音楽院時代に影響を受けたフランス仕込みの、色彩的なオーケストレーションも特徴的だ。
そして解説によると、当時の前衛音楽に反発し「前衛音楽に認められるリズムやテンポの煩雑化も、せっかく到達したポリフォニーの喜びを人間の耳から奪うだけ、云々」など主張し続けたのだそうだ。

この交響曲第1番を聴いたとき、第1楽章の最初の部分が美しくすぐに気に入ってしまった。
少しマーラーやアルヴェーン的なような響きがあったり、ダニー・エルフマンのバットマンのサントラを思い出したり、ドビュッシー?なんて思ったり聴いていてとても面白い。
交響曲は全部で6曲、協奏曲・器楽曲などいろいろあるようなので、これから聴いてみたい。

ジェラルド・フィンジ/エクローグ(ECLOGUE)

◆ピアーズ・レイン(pf)
ニコラス・ダニエル(指揮)
イギリス室内管弦楽団◆

秋ということで、この季節に聴くとしみる曲をまた。
イギリスの作曲家ジェラルド・フィンジ(1901-1956)の限りなく繊細で美しいピアノと弦楽オーケストラのための小品。
エクローグ(ECLOGUE)とは辞書によると「牧歌、田園詩」という意味。

この曲との出会いは、ある雑誌の中で作曲家の三枝成彰先生の、フィンジというあまり知られていない作曲家の「クラリネット協奏曲」が素晴らしいという記事を読み、購入したCDに入っていたというのがきっかけ。
その「クラリネット協奏曲」も大好きな曲になったが、この10分弱の短い曲であるエクローグがとても気に入ってしまった。
ただ単にメロディが美しいというだけでなく、若い時分に兄弟や父親の死を体験したことが音楽にも色濃く影響しているのか、とにかく非常に繊細で内省的な音楽。

何種類かの演奏を聴き比べてみたが、僕的にはこのピアーズ・レインのピアノが一番しっくりくるように思う。一音一音丁寧に、決してガシガシ弾いたりしないところがいい。

ブラームス/ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品83

マウリツィオ・ポリーニ(pf)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,
クラウディオ・アバド(指揮)
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

すっかり秋めいてきました。
ここ数年、秋になると必ず聴きたくなるのがブラームスの作品です。。
四季の中でも一番好きな季節です。夏が終わってちょっと寂しい感じですが、キンモクセイの花の香りがしてきたり、この感じが何ともいえず好きなのです。
僕の勝手な解釈ですが、秋とブラームスの音楽はとても良くあいます。
ブラームスはドイツでも北部のハンブルクの音楽家でそこは気候的にも寒さが厳しいところ。
音楽も非常に重厚で少し厳しさのようなものも感じます。でもその中には「ハンガリー舞曲」に代表されるように民族的なメロディーが盛り込まれていたり非常 にロマンチックで美しいメロディーやリズムであふれています。少しもの哀しい感じがするんですがその中に、ほっとするような暖かさが感じられる音楽、そう いう所が秋という季節としっくりくるのかな。

中でもピアノ協奏曲第2番も聴きどころ満載の名曲です。
冒頭のホルンによる短いやわらかなフレーズにピアノのアルペジオがのってくる序奏部から、パワー全開のオケとピアノがグングン展開していく第1楽章。
ドラマの急展開を思わせるような何か不安定なそれでいてロマンチックなメロディがとても印象的 な第2楽章。チェロの叙情的なメロディで始まる美しい第3楽章等々。
僕が初めてこの曲を聴いたのは、バックハウスというピアニストによる、これも超名盤といわれるものでしたが、このポリーニ盤の方が好きです。
詳しいことはよくわからないのですが、大雑把に言ってしまうとグルーヴ感がとても気持ちいいです。ブラームスの音楽って他の作曲家にはない独特のリズム、シンコペーションがあると思うんです。

今年もiPodで電車の中、外の雑音がうるさかろうがなんだろうが聴くんだろうな。