井上道義/ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト

12月1日(土)17時開演
日比谷公会堂

ショスタコーヴィチ:
交響曲第4番ハ短調作品43

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:井上道義

ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクトを聴くために日比谷公会堂へ再び。
先月12日の10番、13番をロシアのサンクトペテルブルグ交響楽団の素晴らしい演奏で聴くことができた。
今日は第4番のシンフォニーでオケは東京フィル、日本のオーケストラ。
この第4番の交響曲は一度生で聴いてみたかった。
すごい過激な音がする曲だから。指揮者の井上道義さんも「ヘヴィメタ・シンフォニー」と呼んでいた。

で、今日は会場にすごいゲストが来ていた。
ロックンローラー内田裕也氏だ。演奏前にステージで内田裕也氏と井上道義氏のトークが。
何故、内田裕也氏がゲストかというと、
今日のプログラムがヘヴィメタル(=ロック)的なシンフォニーだからということ、そして内田裕也氏は60年代に日比谷野外音楽堂で10円、100円コンサートをやったから。
そうそう、井上道義氏によるこの日比谷公会堂でのプロジェクトは全てのプログラムが3000円なのだ。
だから毎回井上氏がステージに出てきて、採算がとれないからカンパをよろしくと言うのだ。

当日の話で内田裕也氏が言っていたこと。
「ロックは反体制的なもの、ショスタコーヴィチは聴いたことがないけれども旧ソビエト時代にスターリンの弾圧に反発し続けて作品を残した人物。音楽や芸術はそういうところからいいものがうまれてくる。マインドは一緒だ」というようなことを話していた。
なるほどなと思った。
僕が昨年辺りからショスタコーヴィチをよく聴くようになったのは単に生誕何周年とかといったことだけではなく、心の奥底にある反発心のようなものがショスタコーヴィチの音楽に共感を示しているのかなと思った。
歳をとったから特に感じるのかもしれないが、最近明るいニュースもないし、決していい時代ではないよな、と感じることが多いし。
こういう今の時代だからこそ聴かれるべき音楽なのかなと、ちょっと思った。

で演奏会はというと、すごくよかった。ありきたりな感想だけど。
でもやっぱり日本のオーケストラは音がぬるい。でもそれなりにすごい音出てた。
特に打楽器は頑張っていたな。
この間のサンクトペテルブルク交響楽団と比べては悪いが、機能性は高くても底力みたいなものがない。あと真面目なんですね、きっと。優等生的な演奏をする。

でも来週も行く。
このプロジェクトは本当に素晴らしいと思う。
昭和の香りのする日比谷公会堂もいいし、この季節、日比谷公園を散歩するのもなかなかいい。

発表会で初めての弾き語り

今日は僕が通っているボサノヴァ・ギター教室の発表会だった。
毎年1回この時期に行われるのだが、昨年は諸事情により見学、今年は頑張って参加してみた。
小さなライブハウスにレッスン生と見学者を合わせて50人ぐらいがぎっしり座っている。
一人ずつ順番に歌うのだがみんな真剣に演奏を聴いているので、ピーンと張りつめた空気になる。
こんな中で演奏できるのだろうか?すごく不安になった。

僕が弾き語りをしたのはカエターノ・ヴェローゾの「Coracao Vagabundo」。
すごく難しい曲を選んでしまったが、今まで弾いた曲の中で好きな曲を選ぶと練習に身が入っていいと先生がおっしゃっていたので素直にこの曲をチョイス。

何とか止まらずに最後まで弾く事ができたが、歌っている最中は、ここはこう弾いてみようとかこう歌ってみようなどという余裕が全くなかった。
本番は練習の半分も力を出せないという話は聞いていたが、全くその通りだった。
でもこれが今の僕の実力なんだなあと、実感。

それでもすごく良い経験ができた。
この歳になって、これだけ大勢の人の前でボサノヴァの弾き語りをするなんて我ながらちょっとびっくり。
でも貴重な経験。来年も参加してみたいと思った。

井上道義/ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト

11月11日(日)15時開演
日比谷公会堂

ショスタコーヴィチ:
交響曲第10番ホ短調作品93
交響曲第13番変ロ短調作品113

バス:セルゲイ・アレクサーシキン
合唱:東京オペラシンガース
管弦楽:サンクトペテルブルク・アカデミー交響楽団
指揮:井上道義

久々に更新。
すっかり忘れていた、この「井上道義/ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」。
土曜の夜に急に気になって調べたら、明日の日曜がサンクトペテルブルクのオケのプログラム最終日。
その日の夜、会社の人の結婚式の披露宴の予定が入っていたが、何とか間に合うだろうということで当日券を購入、聴くことができた。セーフ・・。

会場は日比谷公会堂。初めて足を運んだが古くて趣のある建物。
このホールは戦前に建てられ、ショスタコーヴィチの日本初演の多くをこのホールでやっている。
内部は思ったよりも狭く、今回の2F席からでもオケが間近だ(上の写真)。
面白いのがステージの両サイドの大道具の搬入口だろうか、シャッターがむき出しになっているところ。
それから普段は暗幕でも垂れ下がっているのだろうか、ステージ天井裏へ続く階段が少し見えていたりなんともショスタコ的アングラな感じが良い。
指揮者の井上道義さんのサイトで書かれていたが、2F席の方が直接的ないい音がするとのこと。
実際、残響はほぼゼロながらとても楽しむことができた。

で、今日のオケ、サンクトペテルブルク・アカデミー交響楽団。
1昨年前の暮れにチャイコフスキーのバレエ曲をドミトリエフの指揮で聴いた。
その日雪で楽器の運搬が送れるというトラブルでほぼリハーサルなしという状況での演奏を聴いたのだが、このオケのレベルの高さには驚かされた。
今回も素晴らしい演奏を聴かせてくれた。
1週間で8曲の交響曲を演奏するというかなり強引なプログラムだが、しっかりとした力強いショスタコだった。

前にも思ったのだが、このオケは弦がすごい。
ザラッとした渋い音がする。特にチェロとコントラバスは重量級でものすごい音がする。
いつも気になるホルンだが、今回はほぼノンヴィブラート。
だがほのぐらいややささくれ気味のバリバリした音は健在。
間違いなくロシアのオケであった。
13番「バビ・ヤール」のバリトンのセルゲイ・アレクサーシキンも素晴らしかった。
日比谷公会堂のようなこんなに狭い残響ゼロのホールで聴けるショスタコは貴重だ。

今年もまた夏が終わる・・・スヴェトラーノフ/ピアノ協奏曲ハ短調


スヴェトラーノフ:ピアノ協奏曲ハ短調
ウラジミール・オフチニコフ(ピアノ)
アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮)
サンクトペテルブルク・アカデミー交響楽団

今年も夏が終わる・・。
今年の夏は本当に暑かった。環境問題とかいろいろ考えさせられた。
ついつい我慢ができずにエアコンをつけてしまうのだけど、地球規模で異常事態が起きていることを考えると心が痛んだ。

今年の夏の終わりは、スヴェトラーノフの”哀愁の”ピアノ協奏曲で。

指揮者としてのスヴェトラーノフの熱くスケールが大きく激しく豪快な演奏スタイルは有名で、僕もCDを聴いたり実演に1度だけだが接しているから少しは知っているつもりだが、作曲家としてのスヴェトラーノフはほとんど知らなかった。

このピアノ協奏曲は、ものすごくロマンチックでメロディックな音楽だ。
指揮者スヴェトラーノフが最も得意としていた作曲家の一人、ラフマニノフの影響が色濃く出ている。
近現代の作曲家の多くが調性のない実験的なサウンドに走るなか、スヴェトラーノフは後期ロマン派的な音楽を守り続けた決して多数派ではない作曲家の中の一人だろう。

このCDはスヴェトラーノフ氏が亡くなった翌年2003年サンクトペテルブルクでのライヴ録音だが、演奏が素晴らしい。
オフチニコフの繊細なピアノとドミトリエフ指揮のサンクトペテルブルク・アカデミー響のゴツゴツしたダイナミックなサウンドがスヴェトラーノフの濃厚な男のロマンの世界を描ききっている。

ZAURA(イザウラ)/JOAO GILBERTO

今年の夏は猛暑続きで本当に暑かった。
ちょうど2年前の夏からボッサ・ギターのレッスンに通いはじめたのだが月日が経つのは本当に早いと感じる。
この2年で16曲弾いた。
どの曲もマスターしたとは言いがたい出来なのだが、毎月1回ペースで必ず通うということを自分に課し、継続できたことは本当によかったと思う。
それからこんな根性のない僕でも「また来月も行こう」という気持ちにさせてくれる楽しいレッスンをしてくれた先生に感謝だ。
もちろんこれからも続けられる限り続けていくつもり。

今回はジョアン・ジルベルトがアルバム「3月の水」で歌っている”IZAURA”に挑戦。
この曲はちょっと早めの”サンバ”なのだが、ここにきてまたまた大きな課題にぶちあたった感じ。
多分これはボッサ・ギターに挫折する理由として最も多いものなのではないか?と思われる部分。
それはコードチェンジのスピードと運指の正確さだ。
それほど難しくない運指のコードでも押さえた時の正確さが求められる。
それを怠ると和音が濁り、ノリも出てこない。
いままで直したくてもなかなか直らなかった、あるいは直すのを怠けた部分のツケがここに来て一気に影響してきた感じ。

さて困ったぞ。
でもここは慎重に1つ1つできない部分を潰していくしかない。
1小節、2小節単位の反復練習。
諦めて頑張るしかない。

DESTINY/アントニオ・アドルフォ, ブラジル アンド ブラズーカ

DESTINY / ANTONIO ADOLFO, BRAZIL AND BRAZUKA

アントニオ・アドルフォの新作がFAROUTレーベルからリリース!
ジャケットの60年代を思わせるタイトルのフォントといい、二人の女性といい、しかもあの”ブラズーカ”の文字が入っている。
これはもしかして!とかなり期待をして聴いてみる。

全編アントニオ・アドルフォのFENDER RHODES PIANOが聴ける。
そしてワウワウ・ギター、グルーヴィーなベースにドラム。
リズムセクションはあのアジムスのIvan ContiとAlex Malheiros。
そしてソフトな女性コーラス、ホーン・セクション。
コーラスの二人の女性Carol&Luisaはご本人の娘さんなのだそうだ。
相変わらずのカッコいいJazzyなコード進行と美しいメロディも健在で最高。
文句なしの完璧なアドルフォ・ワールドが全編で炸裂している!

1曲目の”Bola Da Vez”はディストーション・ギターによるスティーリー・ダン的なリフから始まる。
すごく思わせぶりでいい。そこにRHODESと女性コーラスとワウワウ・ギターが。
ああ、もうこれだけでいい。
3曲目の”Luizao”は2005年にこの世を去った元ブラズーカ、そしてブラジルを代表するベーシスト、ルイザォン・マイアをトリビューした曲。
1stアルバムの”TRANSAMAZONICA”を思わせるグルーヴィーな曲。
ここまでですでに期待を裏切るどころか期待以上。
4曲目”Eu e Você”は哀愁をおびた名曲。途中メジャーコードに転調するあたりアントニオ・アドルフォ独特の曲だ。
ちょっととばして8曲目(この間も捨て曲なし!)”Dono Do Mundo”はファンキーなR&B調のイントロから一転してソフトでメロウな女性コーラスに展開するあたりも、ふと当時のブラズーカのアルバムを聴いているかのようなそんな気持ちになる。

2007年、ブラズーカ結成の1968年から約40年。
こんなに素晴らしい”ブラズーカ”の新作が今聴けるなんて本当に幸せ!

ハダメス・ニャタリ/Meu Amigo Tom Jobim

ハダメス・ニャタリ(1906-1988)、ブラジルの作曲家、アレンジャー、ピアニスト、指揮者。
初めて耳にする名前だったが、まだ大成する前のアントニオ・カルロス・ジョビンの才能を見抜きアシスタントとして起用するなどジョビンの師匠である人物らしい。
ルイ・カストロ著「ボサノヴァの歴史」の中で”どんなミュージシャンでも、5分間でいいから隣に立ってみたいと思っていた男”と紹介されている。
この本は読んだが、記憶に残っていなかった・・というか分厚くてちゃんと読めてないか・・。
先日観た映画”This is BOSSA NOVA”の中にも名前が登場する。

このアルバム「Radames Gnattali Meu Amigo Antonio Carlos Jobim」(私の友達アントニオ・カルロス・ジョビン)はニャタリの作品を紹介する企画盤。
作風はいわゆるポピュラー音楽、ジャズ的なものからクラシック音楽的なものまで幅広い。
その中にブラジル的な要素、そしてラテン諸国の作曲家、フランスのラヴェル、スペインのファリャ、ブラジルのヴィラ=ロボスなどに共通のラテン的色彩感が濃厚に漂っている。
同年代に活動していたアストル・ピアソラの音楽にも共通するものがある。

タイトル曲「Meu Amigo Antonio Carlos Jobim」は友人であるジョビンに捧げられた曲。
アコーディオンとエレキ・ギターによって演奏されるメロディーが暖かくほのぼのしていて雰囲気的には古いヨーロッパの映画のサントラを聴いているような気分になる。
続く「Sonatina Coreográfica 」は無調的なメロディが印象的。
70年代のフランスのジャズ・ピアニスト、マーシャル・ソラルの「Locomotion」というアルバムを思い出した。
アルバムの最後にはジョビンがニャタリに捧げて作曲した「Meu Amigo Radames」が二人のピアノの連弾で収録されている。
この曲は知っていたが経緯は全く知らなかった。

ライフワークだったという「Brasiliana」は4番、7番、11番がおさめられているが、メロディと和声が素晴らしく美しい作品群だ。
ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」のように、ピアノやチェロなど曲によって楽器編成が様々。
何番まであるんだろう?全部聴いてみたい。

カルロス・リラ 来日舞台挨拶~映画"This is BOSSA NOVA"

映画”This is BOSSA NOVA”8月4日(土)渋谷Q-AXシネマ

中原仁さんのサイトのフィードをチェックしていたら、ボサノヴァ創生期にジョアン・ジルベルトやジョビンらと活動をしていたカルロス・リラとホベルト・メネスカルが映画”This is BOSSA NOVA”のプロモーションで来日中と記事があった。

これはと思い上映館のサイトを見ると8/4にカルロス・リラ氏の舞台挨拶があり、そして「演奏予定あり」と記述が!
当日の朝、歌が聴ける可能性があるということもあって、あわてて劇場にtel。
まだチケットがあるということで舞台挨拶のある夕方の上映に足をはこんだ。

劇場内は立ち見が出る程の満員。
司会の方の紹介で、カルロス・リラ氏が登場。
青いシャツにグレーのジーンズととてもラフなスタイル。
71歳とは思えないぐらいスッとしていてわかわかしい。
“Voce E Eu” “Coisa Mais Linda”の2曲を歌ってくださいました。
あたりまえだけど、すごくよかった。

映画はカルロス・リラとホベルト・メネスカルによってボサノヴァ創生期を振り返るドキュメンタリー。
ジョアン・ドナート、ジョニー・アルフ、ジョイスなども出演。ジョビン、ジョアン、ヴィニシウス、アストラッドなどの貴重な映像なども見られた。
映画の構成とかはまあ置いといて、充分楽しめる内容だった。

映画の中で「ジャズはボサノヴァでもなんでも飲み込むけど、ボサノヴァは直接ジャズの影響を受けたわけではではない。フランスのラヴェルとかドビュッシーの影響が強い」と語られていたのが印象的だった。
それから息子のパウロ・ジョビン氏が「父はラフマニノフが好きで第2協奏曲を自分なりの弾き方でよく弾いていた。」と語っていた点も。

ブラジルの大作曲家、ヴィラ=ロボスもアントニオ・カルロス・ジョビンもフランスのラヴェルやドビュッシーの和声に強い影響を受けているのは聞いたことがあった。
ジョビンがラフマニノフを何度も弾いていたというのは、初めて知ったがすごく納得がいった。

ロシア=フランス=ブラジルは音楽の琴線で繋がっている!

Ricardo Tete/Geringonca(ヒカルド・テテ/ジェリンゴンサ)


ヒカルド・テテのデビューアルバム「ジェリンゴンサ」。
昨日CDショップをブラブラしていてみつけた。これ、すごくいい。

1978年ブラジルのサンパウロ生まれで現在はパリを中心に活動しているアーティストらしい。
お店のキャプションに”カエターノ・ヴェローゾ!?”って書いてあったが声が少し似ているかもしれない。
曲はメロディアスできれいな曲が多い。
サウンドはガットギター、アコギ、パーカッションが中心だがJazzyなホーンセクションやアルバムタイトルのGeringonça”ガラクタ”っぽいノイジーなギターやシンセサイザーの音が入っていたりとても面白いし聴きやすい。

Meditacao/Antonio Carlos Jobim


ジョビンの名曲「Meditacao」に挑戦。
イントロのドアタマのコードがm7(-5)。
ブラジル音楽ならではの哀愁たっぷりのコード進行だ。

ゆったりめのテンポでじっくりコードの響きを確認しながら弾いてみる。
コード自体はそれほど難しいものはないが、コードとコードの継ぎ目を切れないように滑らかに弾くのが意外と難しい。
前回同様に鳴っていない弦がないか、耳で確認しながら弾く。

久しぶりに弦を交換してみる。
前回の交換時からラベラというメーカーのブラックナイロン弦を張っている。
ナイロン弦の部分が黒くコーティングされているのだ。
上の写真のとおり僕のギターもやや男前度が増したようにも見える。
音色も柔らかめの中域のはっきりした音がでるので最近気に入っている。
4,5,6弦もオイルのようなものでコーティングされているせいか、弾いている時に出る「キュキュッ」という音も少ない。
パリっとした音が懐かしくなったらまた元のハナバッハあたりに戻すかもしれないが、しばらくはこれでいってみようか。

E PRECIO PERDOAR/JOAO GILBERTO

アルバム「三月の水」はどの曲も大好きなのだが、その中から「E PRECIO PERDOAR(許してあげよう)」に挑戦。
この曲はサンバのリズム。僕は結構苦手だ。
コードチェンジはそれほど激しくはないのだが、ノリを出すのが難しい。
途中、最初のCm9のコードで重要なE♭の音が鳴っていない事が判明。
押さえるフレットがやや遠くルート音を押さえている中指が弦に触れてしまっているのが原因だとわかった。
しかし、直そうにもなかなか直らない、かなりの重傷。
実は他にも鳴っていない音、たくさんあるんじゃないだろうか・・?不安になる。
手癖は早めに直さないと大変なことになるな。

そうそう、このアルバムは全てギターのチューニングを半音低くして弾いている。
ハードロックのギタリストみたい。
このアルバムに漂うほの暗くもやわらかな空気はこのせいかもしれない。

栗あんぱん

久我山へに行く事があると必ずといっていいほと寄るパン屋さんがある。
以前に久我山に住んでいたことがあり今でもそれほど遠くはないところに住んでいるのだが、何かない限りはなかなかでかることはない。
久我山へはだいたい体調を崩したりしていつもの病院に行く場合が多いのだが、その時は体調が悪いにもかかわらず必ずそのパン屋さんによってしまう。

その理由はこの「栗あんぱん」である。
最初はこの形といい、おしりのところのけしの実のお化粧といい、何とも可愛らしいルックスに惹かれ買ってみた。
そして食べてみて完全にハマってしまった。
中にマロンクリームと栗がぎっしり。
味はいわゆる「街のケーキ屋さん」の「モンブラン」のあのクリームの味。
僕は「モンブラン」の味が大好きだからもうたまりません。
それ以来、この「栗あんぱん」の虜です。
お店の棚にこのコたちがたくさん並んでいるのを見るだけでも心が和みます。

京王井の頭線「久我山駅」北口から歩いて5分ぐらいのところにある「LAPIN(ラパン)」というパン屋さん。お昼ぐらいまでの早めの時間に行くのがいいかも。
このパンに限らず他のパンもとても素朴でおいしい。

音楽の話ではないけど味覚の「琴線」に触れる一品ということで。

マリーザ・モンチ来日公演

5月30日(水)
オーチャードホール(渋谷)
19:00開演

マリーザ・モンチ。今のブラジルを代表する歌姫。ブラジルに限らず世界的に人気があるアーティスト。

僕はブラジル音楽がとても好きなのだが実はマリーザ・モンチはほとんど聴いたことがなかった。
今回の来日公演に際して「ようやくまた来ますね」とか「バックミュージシャンがすごいらしい」などという周りの人が興奮気味に話すのを聞いているうちに、これは聴いておかなければと思いチケットを購入。

公演間近にチケットを購入したのでS席は購入できなかったが3Fバルコニー席の1列目をゲット。
実際に座ってみるとステージからも意外と近く、見下ろす感じになるがなかなか良い席。
会場内は徐々に人が増えはじめワサワサとしてくる。それから異常に外国人が多い。

会場が真っ暗になり、いよいよ公演スタート。
真っ暗の会場にアコギを中心とした演奏がはじまり、マリーザが歌いはじめた。
艶っぽい張りのあるすごくいい声だ。でもまだ会場は真っ暗。
1コーラス歌いきったあたりで、マリーザにスポットライトがあたった。
どっと会場が湧く。そしてマリーザを中心としたバンドを包み込むようにライトがあたる。

とにかく声が素晴らしかった。やっぱり生で聴くのがいい。
パフォーマンスもよかった。会場の皆と盛り上がろうと踊るマリーザ。
マリーザはすらっと背が高くて、愛嬌があってとても可愛い人だった。
バンドも素晴らしかったな。すごく変わった編成。
ガット&アコースティック・ギター、カヴァキーニョ、ベース、パーカッション&ドラム、Fender Rhodes&アナログシンセ、とここまではわりと普通。
でステージ1列目にチェロ、ファゴット、トランペット、ヴァイオリン(各1名)が並ぶ。
ファゴットがいるというのがユニーク。やわらかいまるっこい音色が意外にもバンドサウンドに溶けこんでいた。
妥協のない必要最小限の楽器でオーケストラを再現という感じ。

カヴァキーニョの音が可愛くて印象的だった。
この楽器、いつの日か弾いてみたいと思った。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 5/5(土)


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
~民族のハーモニー~
5月5日(土)東京国際フォーラム ホール A

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
(pf:ボリス・ベレゾフスキー)
ムソルグスキー:交響詩「禿げ山の一夜」
ボロディン:
交響詩「中央アジアの草原にて」

ドミトリー・リス(指揮)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

2日のラフマニノフに続いて本日はボリス・ベレゾフスキーのピアノによる「パガニーニの主題による狂詩曲」。
オケも先日に引き続きリス&ウラル・フィル。
ホールはジョアン・ジルベルトのライヴで何度も足を運んだ東京国際フォーラム ホール A。
5000人収容できる大規模な多目的ホールだから音の期待はできない・・。
と思ったのだが、今日はホールとオーケストラについて新しい発見があった。

まず、ホールAについて。
思っていたよりも聴けた。少なくともホールCよりは。もちろん良くはなかったけどそれほど悪くはないかも。
渋谷のオーチャードホールに近いようなスカスカ感、中高域がシャリシャリ気味になるのは池袋の芸劇っぽいような。
ウラル・フィルについては先日「特徴の無い音」と書いたがちょっと違うかもしれない。
先日は7列目という前の方の席で第1ヴァイオリンの真ん前で聴いていたために全体の音が聴けなかった。
今日は2Fの中央の席で全体のブレンドされた音が聴けた。
今日感じたことを順にあげると、金管楽器はやっぱりノンヴィブラートなのだが音色がほのぐらいまるっこい音色。
木管楽器はオケの中で一番元気で明るい音色、ホルンのほのぐらい音色との相性がすごくいい。
弦楽セクションは線が細いがトーンとしてはやっぱりほの暗い音色。
ということで総合すると「ほの暗い音色」=「ロシアオケの基本トーン」ということなのかな?
ちょっと違うような気もするが、「特徴の無い音」ではない。
1000人ぐらい収容の小規模な室内楽をやるような、それでいて響きの良いホールでこのオケの演奏を聴いてみたいと思った。

で、メインのベレゾフスキーのラフマニノフだが洗練された現代的な(?)演奏だったと思う。
有名な第18変奏の部分も美しかった!この部分リスのタクト、リズムの揺らし方も良かった。
ムソルグスキーの交響詩「禿げ山の一夜」では、このロシアオケの底力を見せつけられるのでは?とちょっと期待をしたがいわゆる一般的な演奏だった。ホールのせいなのかわからないが音色がローカロリーな感じ。

展示ホール

ストラヴィンスキー:バレエ曲「春の祭典」
高関健(指揮)
桐朋学園大学オーケストラ

上に書いたラフマニノフを聴いた後、すぐに駆けつけたが2部の後半を演奏中。
ハルサイ(=春の祭典)といえば原始的なリズムと変拍子の連続、大暴れする打楽器群、吠えまくる金管楽器といった超難曲。
20世紀の管弦楽作品の中でも最重要作品とされるストラヴィンスキーの代表作だ。
実演に接するのは初めてだったが、さすが音大オケ、力強い素晴らしい演奏でした。
最後の「生贄の踊り」パーカッション、金管セクションの強奏には久しぶりに鳥肌が立った。
そうそうパーカッションは全員女性でしたね。
今日の一番の収穫はこの「ハルサイ」が聴けたこと、かな。

LINDEZA / Caetano Veloso

ここのところずっとボッサ・ギターのことについて更新してなかったので書くことにする。
2月のTREVO DE 4 FOLHAS(四葉のクローバー)につづいてはカエターノ・ヴェローゾのLINDEZAにチャレンジ。
アルバム「シルクラドー」のラストを飾る美しくも官能的なボサノヴァ。

カエターノ・ヴェローゾの音楽については正直言わせてもらうと、僕にはちょっと難しいなあという印象。
でも好きな曲は無謀にもちょっと弾いてみたいな、これ弾けたらカッコいいなと思わせる独特の世界がある。
今までに弾いたAvarandadoやCoracao Vagabundoなんかもそうだ。
しかし実際に弾いてみてもその世界には遠く及ばず、だたのあこがれで終わるのだが・・。

この「シルクラドー」というアルバムは15年程前だったか、当時オリジナル・ラヴのキーボーディストだった木原龍太郎さんが雑誌の中で紹介していたのを見て初めて購入した。
最初聴いた時すごく混乱したのを憶えている。
それまで全く出会ったことがなかった音の世界とカエターノの独特の節回しを受け入れるのに時間がかかった。
何度か聴いているうちに、徐々にカエターノ節として耳に馴染んでくるという感じだったのだが、そんな中でもLINDEZA(美しいおまえ)はとてもメロディアスで最初からきれいな曲だなと思っていた。

3月のLINDEZAの後は、ジョアン・ジルベルトの「3月の水」の中のE PRECIO PERDOAR(許してあげよう)。
現在この曲と格闘中。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 5/6(日)


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
~民族のハーモニー~

5月6日(日)東京国際フォーラム ホール A

フォーレ:レクイエム作品48

アナ・キンタンシュ(ソプラノ)
ピーター・ハーヴィー(バリトン)
ローザンヌ声楽アンサンブル
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ミシェル・コルボ(指揮)

ガブリエル・フォーレ(1845-1924)はフランスを代表する作曲家。
宗教音楽学校で学んだ後、教会のオルガニストなどをしながら作曲活動をした。
宗教音楽というととても固い感じがするが、フォーレの作風は決して古典に偏った形式や和声を持つものではなく、フランスの作曲家らしい色彩を含んだ和声や意外性を含んだ転調、調性などが多くみられる。
また、宗教音楽家らしい禁欲的ともいえる抑制された音楽の流れから開放へ向かう、というような独特の音世界があるように思う。

この「レクイエム」はフォーレの代表作だ。
モーツァルトの「レクイエム」の重々しいイメージとダブって敬遠しがちだったが、このフォーレのレクイエムは「・・死に対する恐怖感を表現したもので はないといわれており、中にはこの曲を死の子守唄と呼んだ人もいた。・・・私には死はそのようにかんじられるのであり・・・永遠の至福と喜びに満ちた開放 感にほかならない。・・」(※)と本人が語ったというようにみずみずしい開放的な音楽が展開される。
楽器編成は合唱、ソプラノ独唱、バリトン独唱、トランペット、トロンボーン、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、ティンパニ、オルガン。
木管楽器のない小編成のオーケストラだがそこをまるっこいオルガンの音が埋めている感じでとてもユニーク。

演奏は、82歳の名匠コルボ氏。
途中、涙が出そうになるほど美しく感動的な音楽だった。

(※)コルボ/ベルン交響楽団/フォーレ:レクイエム 解説より

5月6日(日)東京国際フォーラム ホール A

ラヴェル : バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)

フアンホ・メナ(指揮)
晋友会合唱団
ビルバオ交響楽団

「ダフニスとクロエ」。ラヴェルの代表作品。
合唱と大編成オケによる大曲。そうそう聴けるものではないのですごく楽しみにしていた。

スペインのバスク地方の街、ビルバオ市のビルバオ交響楽団も初めて。
現代的な音のするオーケストラだったが期待していた通り、ちょっとラテンの響きもするオーケストラだった。
ホルンの音色が少し太く低い感じでオーケストラ全体の音色を艶っぽく引き立てるような。
同じホールでもウラル・フィルとは響き方が(オケの編成・人数の違いもあるが)違った。
リズムはどうなんだろう?ちょうどシエスタの時間だったし気乗りしてなかったのか?
最後のバッカナールは盛り上がった。
充分楽しめた。

5月6日(日)東京国際フォーラム 展示ホール

ストラヴィンスキー:バレエ曲「春の祭典」
高関健(指揮)
桐朋学園大学オーケストラ

昨日、第2部の最後の部分だけだったがとても素晴らしい演奏だったので、本日は全部聴きたくて再び会場へ。
場所も昨日よりもいい場所で聴くことができた。
音楽大学のオーケストラってスゴいなと思った。
若い人たちの集中力、瞬発力はプロのオーケストラからはなかなか聴くことができないものなのかもしれない。
とても感動した、鳥肌がたった、ブラヴォー!!

ドミトリー・リス(指揮)ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007
~民族のハーモニー~
5月2日(水)東京国際フォーラム ホール C

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27
ドミトリー・リス(指揮)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

今年で3度目の開催となる音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへ出かけた。
この音楽祭は初めて。過去2度の音楽祭はそれぞれモーツァルト、ベードーヴェンと作曲家をテーマに開催していたためあまり興味が持てなかった。
今年はテーマが ~民族のハーモニー~ということでいろんな作曲家の作品を世界のオーケストラ、アーティストが演奏する。
公演プログラムもロシア、フランス、スペイン、北欧などの作曲家の作品など、音楽祭が行われる5日間にまとめて聴くことができる。
その中で、僕は本日のラフマニノフの「交響曲第2番」、少し間をおいて5日のラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、6日のフォーレの「レクイエム」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」の4公演のチケットを購入。
1公演あたりチケット料金も2000円程でお手軽だ。

で、本日のラフマニノフ、交響曲第2番。
ドミトリー・リス&ウラル・フィルというのは、ここ最近メジャー・レーベルからCDを発売しておりよく目にするようになったコンビ。
ウラル・フィルというのはロシアのウラル山脈の麓の街、エカテリンブルクという工業都市のオケだという。
いわゆる「ロシアの地方オケ」という意味ではどんな音がするのかとても興味があった。

演奏はとてもすばらしく、うまいオーケストラだった。
「地方オケ」なんて言い方がとても失礼な感じがするほど。
指揮者のリスも第1楽章から早めのテンポで小気味よく聴かせていく感じ。
とても見通しの良い、わかりやすいラフ2でした。
第3楽章のホルンのややほの暗い音色と木管セクションの音色がうまくブレンドされるあたりが特に素晴らしかった。
オーケストラ全体の音色としては特徴はない感じ。毎度ロシアオケに期待する金管セクションのビブラートもほぼゼロ。
何の情報もなしに聴いたらロシアのオーケストラだとは思わないかもしれない。それぐらい洗練された音色のする団体でした。
個人的には、もっとやんちゃな感じのするロシアオケを期待していたかも。
ちょっと1杯ひかっけて来ちゃいましたって感じの赤ら顔したでっぷりしたおっさんがトランペットかかえて出てくる、みたいな(笑)

それから国際フォーラムって何度か他のライヴで聴きに来てはいるけどクラシックはすこし厳しいかもしれません。
ホール Cでも響かない。結構デッドでドライな感じの音色。

THE APPLES IN STEREO / New Magnetic Wonder

アップルズ・イン・ステレオのニューアルバム「ニュー・マグネティック・ワンダー」。
90年代にアメリカはデンバーを中心にビーチ・ボーイズ・フリークなどがあつまってできた「エレファント6」というグループ中のバンド。
音的にはガレージ・ロック・バンド+ELO的アナログサウンド+ビーチ・ボーイズ的コーラスという感じか。

最近この辺のポップ・ミュージック周辺から離れていたから全然状況がわからなくなっちゃったけど、フラリとPOP&ROCKコーナーへ久しぶりに足をはこんでみたら、こないだのハイ・ラマズと並んで試聴機に入っていた。
おお、なんか久々に見る名前だ!と思ったら 5年ぶりのアルバムになるんだそうだ。
聴いてみたら、ちょっと恥ずかしくなるぐらい超ポップでメロディアス!
でも、なんだかんだいってもこういうのって好きなんだよね。
ボコーダーを多用したコーラスやアナログ・シンセとギターのノイジーなサウンドが気持ちいい。
10年ぐらい前はこういうのをよく聴いてたな。なんか少し懐かしくなってくる。

アーノルド・カーツのラフマニノフ

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27

アーノルド・カーツ(指揮)
ノヴォシビルスク・アカデミー交響楽団

ラフマニノフの交響曲第2番はこないだスヴェトラーノフで書いたばかりだが素晴らしいCDがあったので再び。

ロシア・シベリアの都市ノヴォシビルスクのオーケストラ、ノヴォシビルスク・アカデミー交響楽団のラフマニノフ。
新譜で何故こんな地方都市のオケのCDが出ているのだろうと不思議に思いつつもとても気になっていた。
指揮者のアーノルド・カーツ氏は50年にもわたってこのオーケストラの音楽監督を務めている超ベテラン。
このコンビのCDはタネーエフの交響曲第4番を1枚だけ所有していて、とても力強い素晴らしい演奏をしていたのでとても期待して購入。

演奏はロシアのオーケストラらしい渋みのある音でありながらも非常に丁寧に歌うような音楽が展開されている。
スヴェトラーノフのラフマニノフとは一味も二味も違う演奏。
のっぺりとした、それでいて味のあるトランペット、くぐもったほの暗い音色にヴィブラートのかかったホルン、柔らかに歌う木管群、そしてシベリアの曇り空(見たことはないが想像)をおもわせる弦楽。
これは2005年の録音なのだが、まだロシアらしい音を持ったこんなにすごいオーケストラがあるということに嬉しくなった。
録音も素晴らしく(再生機器を持っていないのだがSACD)各楽器の音色がきちっととらえられている。
こんなに細部のパートがはっきり聴こえるラフマニノフの交響曲第2番は初めて。
例えば第1楽章後半の盛り上がり部分のティンパニとシンバル・大太鼓の打ち込み部分のリズムなど、こうなっていたんだと、新たな発見も多い。
同時収録のボヘミア奇想曲ではさらにこのオーケストラの持ち味であるロシアらしいサウンドが炸裂する名演!

だがしかし。
いろいろ検索をしていたら、指揮者のアーノルド・カーツ氏は今年の1月22日に亡くなっていることがわかった。
こんな名演に出会えて、ここのところ嬉しくて毎日聴いていただけにとてもショックだ。
アーノルド・カーツ氏なき後も、この素朴でありながらもロシアの大地を思わせる味わい深いサウンドが、このオーケストラからいつまでもなくならないことを祈りたい。

作曲家チャールズ・チャップリン

チャップリンの映画音楽:
カール・デイヴィス(指揮)ベルリン・ドイツ交響楽団

小学生の頃からチャップリンの映画が大好きだった。
僕が子供の頃はまだ家庭用ビデオデッキというものはそれほど普及していなかったが、うちは父親が映画好きだったのでわりと早い時分からビデオがあった。
よくNHKなどで放送していたものをビデオにとって何度も観たりしていた。
「モダン・タイムス」「街の灯」「黄金狂時代」「サーカス」「キッド」などなど。
もちろんドタバタ喜劇が楽しかったのだが、映画の中に登場する人間チャップリンが大好きだった。

当時からすごいなあと思っていたのが、監督・脚本はもとより作曲までを自分でしていたというところ。
トーキー(有声)の時代に入ってもサイレント(無声)にこだわり、音楽で登場人物やシーンの情景を表現した。
そこに付いている音楽はクラッシックなどのバレエ音楽やオペラのように雄弁で質が高い。
メロディーが素晴らしいし、 オーケストレーションを担当した編曲家・指揮者は別にいるのだがオーケストレーションにも相当こだわっていたらしい。
ルロイ・アンダーソン、ガーシュイン、プッチーニ、 チャイコフスキー、シュトラウスなどいろんな作曲家の影響がうかがえる。
でも何がいいって、やっぱり心にスーッ入ってくるメロディの素晴らしさ。
僕がクラシック音楽というものを抵抗なく自然に聴くようになったのは、チャップリンの映画音楽の影響が大きいと思っている。
本当に何度も映画をみてサウンドトラックも耳にすり込まれたから。

それでこのCDはそのサウンドトラックをカール・デイヴィス指揮のベルリン・ドイツ交響楽団が演奏したもの。
といっても完全なスコアは残っているわけでもなく、指揮者であり作曲家でもあるカール・デイヴィスが当時のフィルム、スコアのメモ、資料などをもとに復元したもの。
当時の録音技術は決して高い訳ではなく、モノラルであり解像度の低い音から聴き取る作業など、相当な苦労がうかがえる。
そしてその復元スコアと演奏は大変素晴らしく、録音も各楽器の音がはっきりと聴き取れる超クリアなデジタル録音。
最初に「黄金狂時代」のオヴァーチュアを聴いた時は鳥肌が立った。
当時のフィルムからは聴き取れない細かい楽器の音など、オーケストラはこういう風に鳴っていたんだと、すごく納得できた。
「モダンタイムス」の中の有名な「smile」が映画と同じ響きでクリアに聴けるもの感動的。
オリジナル楽曲の素晴らしさを完全に再現できているといっても過言ではないと思う。

このアルバムを聴きながら、「これはあのシーンの音楽だ」などと思い浮かべながら聴くのがすごく楽しいが、映画を観ていなくても、純粋に音楽として楽しむこともできる。
また、作曲家チャールズ・チャップリンの音楽の素晴らしさを後世に伝える貴重な一枚だと思う。

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