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6/3 チャイコフスキー記念ボリショイ交響楽団(モスクワ放送交響楽団)

6月3日(水)サントリーホール

チャイコフスキー:

スラブ舞曲Op.31
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23
交響曲第5番ホ短調Op.64

河村尚子(ピアノ)
ウラジミール・フェドセーエフ(指揮)
チャイコフスキー記念アカデミーボリショイ交響楽団(モスクワ放送交響楽団)

前回の2006年の来日から3年ぶり。
今日から3日間の東京公演はすべてオール・チャイコフスキー・プログラム。
明日が「白鳥の湖」に交響曲第4番、あさってが演奏会形式の歌劇「イオランタ」、全部聴きに行きたいがそうもいかず、やっぱりフェドセーエフお得意の交響曲第5番は一度聴いておきたいと思ったので本日の公演に。

3年前の公演も大満足だったのだが、今回もやっぱり素晴らしいチャイコフスキーだった。
77歳とは思えない堂々としたフェドセーエフの指揮にオーケストラも十分に答えていた。

スラブ舞曲でウォーミングアップしてピアノ協奏曲第1番へ。
河村尚子さんの凛としていて力強いピアノがとてもよかった。
ミスタッチなどもなくすごいテクニック。
第2楽章のフルートのフェドートヴァとの掛け合い(対決?)も素晴らしく、途中ノリノリで弾いている姿なども印象的だった。

休憩を挟んでいよいよ交響曲第5番。
冒頭のほのぐらいクラリネットと少しざらついた感じの弦楽は、このオーケストラならではのもの。
淡々としたテンポで進むが途中落とすところはぐっと落としてたっぷり歌わせるのだが決して甘くならないキリッとした淡麗辛口チャイコフスキーだ。
西欧オケやアメオケがやるワインみたいなチャイコフスキーとはまったく別物。
そして普通の西欧オケには絶対いないだろうという奏者がいるのが楽しい。
今回はティンパニ奏者。
少し大げさに高くマレットを振り上げて上からすとーんと落とすような叩きかたがなんともロシア人っぽくていい。
そして本日の聴きどころ第2楽章、冒頭のホルンは見事な柔らかいロシアン・ビブラート!
たっぷりとあの叙情的なメロディーを奏でていた。
もうこれが聴けただけでも大満足という感じ。

楽団員の世代交代と同時に70〜80年代、そして90年代の音とも確実に変わってきているのは事実。
でもこのオーケストラはフェドセーエフのもと、ロシア音楽の演奏スタイルというものにこだわりをもって保持し続けている団体だと思う。
そしてフェドセーエフのおおらかな音楽表現もいい。

若い時分に初めて生で聴いたフェドセーエフの「シェエラザード」はなんだかぼやっとした表現で物足りなさを感じたりした。
だがそれは、自分の耳が奇をてらったような演奏や緻密に計算された演奏に慣らされただけなのだ、ということが今になってようやくわかったような気がする。
歳をとって音楽の感じ方が変わっている自分に驚くのと同時にちょっとうれしい。

楽器配置は左右に第1、2ヴァイオリン、真ん中左にチェロ、右にヴィオラ。木管は1列目左からフルート、オーボエ、2列目左からクラリネット、ファゴット、金管はその後ろに一列、左からトランペット、トロンボーン、中央にチューバ、そしてホルン、打楽器(ティンパニ、小太鼓、大太鼓、銅鑼)最後列にズラリと10台のコントラバス。