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作曲家チャールズ・チャップリン

チャップリンの映画音楽:
カール・デイヴィス(指揮)ベルリン・ドイツ交響楽団

小学生の頃からチャップリンの映画が大好きだった。
僕が子供の頃はまだ家庭用ビデオデッキというものはそれほど普及していなかったが、うちは父親が映画好きだったのでわりと早い時分からビデオがあった。
よくNHKなどで放送していたものをビデオにとって何度も観たりしていた。
「モダン・タイムス」「街の灯」「黄金狂時代」「サーカス」「キッド」などなど。
もちろんドタバタ喜劇が楽しかったのだが、映画の中に登場する人間チャップリンが大好きだった。

当時からすごいなあと思っていたのが、監督・脚本はもとより作曲までを自分でしていたというところ。
トーキー(有声)の時代に入ってもサイレント(無声)にこだわり、音楽で登場人物やシーンの情景を表現した。
そこに付いている音楽はクラッシックなどのバレエ音楽やオペラのように雄弁で質が高い。
メロディーが素晴らしいし、 オーケストレーションを担当した編曲家・指揮者は別にいるのだがオーケストレーションにも相当こだわっていたらしい。
ルロイ・アンダーソン、ガーシュイン、プッチーニ、 チャイコフスキー、シュトラウスなどいろんな作曲家の影響がうかがえる。
でも何がいいって、やっぱり心にスーッ入ってくるメロディの素晴らしさ。
僕がクラシック音楽というものを抵抗なく自然に聴くようになったのは、チャップリンの映画音楽の影響が大きいと思っている。
本当に何度も映画をみてサウンドトラックも耳にすり込まれたから。

それでこのCDはそのサウンドトラックをカール・デイヴィス指揮のベルリン・ドイツ交響楽団が演奏したもの。
といっても完全なスコアは残っているわけでもなく、指揮者であり作曲家でもあるカール・デイヴィスが当時のフィルム、スコアのメモ、資料などをもとに復元したもの。
当時の録音技術は決して高い訳ではなく、モノラルであり解像度の低い音から聴き取る作業など、相当な苦労がうかがえる。
そしてその復元スコアと演奏は大変素晴らしく、録音も各楽器の音がはっきりと聴き取れる超クリアなデジタル録音。
最初に「黄金狂時代」のオヴァーチュアを聴いた時は鳥肌が立った。
当時のフィルムからは聴き取れない細かい楽器の音など、オーケストラはこういう風に鳴っていたんだと、すごく納得できた。
「モダンタイムス」の中の有名な「smile」が映画と同じ響きでクリアに聴けるもの感動的。
オリジナル楽曲の素晴らしさを完全に再現できているといっても過言ではないと思う。

このアルバムを聴きながら、「これはあのシーンの音楽だ」などと思い浮かべながら聴くのがすごく楽しいが、映画を観ていなくても、純粋に音楽として楽しむこともできる。
また、作曲家チャールズ・チャップリンの音楽の素晴らしさを後世に伝える貴重な一枚だと思う。