カテゴリー : アナログレコード

昔のアナログレコードは再生されるべき周波数特性カーブがあるということ

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ここ数年毎日のようにアナログレコードを聴き続けてきたのだが、先日「合研LAB」さんの「周波数特性可変の」フォノイコライザーというものを購入した。
数ヶ月あれやこれや聴いてみてようやく最近になってわかってきたことを書いておくことにする。
いまさらな感じはするが、結論を最初に言ってしまうと、昔のアナログレコード(特に外盤)は再生されるべき周波数特性カーブを、盤によっては変える必要があるということだ。
当たり前の話なのかもしれないが、国内の一般的な機器でレコードを聴いていると意外と気がつかないのではないかと思う。
あくまでも「昔の」(1980年代頃までにプレスされた)そして主に「海外でプレスされた」レコードの場合についてだが。

アナログレコードの「周波数特性カーブとは何ぞや?」ということだが、簡単にいうと
レコードの溝には、音の情報を低域を減衰させて高域を強調させて刻まれている都合上、再生時はフォノイコライザーアンプで音を平坦な音に戻す必要がある。
その戻すときの調整(イコライジング)する波形を周波数特性カーブという。

そもそものきっかけは、古いDECCAのアルバムはDECCA推奨の周波数特性ffrrカーブで聴くと自然な再生音になるという話をネット上で読んだこと。
そして何よりも、手持ちのレコードで違和感のある音がするレコードが結構あったことだ。
調べていくと、周波数カーブにはffrrの他に、AESカーブ、Columbiaカーブ、NABカーブなどいろいろあるということもわかり、合研LABさんのアンプにも出会えたわけだ。機器はRIAAなのに、レコードが違うカーブだったら正しい音で再生されないのではないか?

ということで、実際に合研LABさんのフォノイコライザーを使用して手持ちのレコードを聴いてみた。
僕が購入した機器は合研LABのGK05CR (EQ for MM)というステレオに対応した特注モデルで、周波数特性はAES/RIAA/Columbia/FFRRの4種のカーブに対応しているもの。

いろいろ聴いた中でまず、英国DECCA1958年録音の超名盤、ペーター・マーク指揮ロンドン交響楽団によるメンデルスゾーンのスコットランド交響曲。
DECCAのオリジナル盤はなかなかの高額で入手も難しく、手元にあるのは1970年代の米国LONDONの廉価盤シリーズのもの。
廉価盤とはいえ、盤は英国DECCAプレスである。
最初聴いたときは、低域が膨よかで高域はほとんど強調されない分やっぱり廉価盤だから?とか、録音が古いからなのかという印象。
が、ffrrカーブでの再生音はというと、音場が左右に広がり奥行きが出て各楽器の分離がよくなりオーケストラに近づいた感じ。
高域が強調されることにより弦や木管が艶っぽく響き、低域が和らぎ奥行きが出たことにより、今までぼやっと聴こえていたコントラバスも左奥に蠢く固まりとして見えだすなど立体感がうまれ、なるほどこれは名録音だと納得がいった。
こうなってくると全く別のソースを聴いている感じで音楽への集中度も変わってくる。

逆に少し戸惑ったのは、旧東ドイツのレコードレーベル「ETERNA」のサヴァリッシュのシューマンだ。
これはCDの音が気に入らなくて再びレコードを始めるきっかとなったレコードでもある。
ようやく入手したETERNAのレコードを最初聴いたときの印象は、噂どおり英国EMI盤より音像が近くて驚いたが、正直音質に関してはザラついた質感の響きでCDと大差ない印象だった。
がこれも、最初ヨーロッパで多いと言われるNABカーブ(この機器だとColumbiaカーブに相当)かと思いきや、聞き込んでいるうちに最近ではこれはffrrカーブではないかと思っている。
シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀といわれる響きがバランスよく自然に鳴り響く。
納得のいく音に近づけたようで、ようやくこのレコードを気持ちよい音で聴くことができるようになった。

1950年代、世界の周波数特性カーブは各国バラバラだったのだが、1960年頃にRIAA カーブに統一されたというのが一般的な話。
僕がレコードをよく聴いた1980年代のオーディオ機器はほとんどRIAAカーブを採用していたらしい。
あの当時、グラフィック・イコライザーが流行っていたのは、これら事情も関係していたのかもしれない。

非常にリーズナブルな価格でこういった機材を提供してくださる「合研LAB」さんには本当に感謝である。
通常ではこうした周波数可変のフォノイコライザー機器は最低でもウン十万円はするものがほとんどではないか。
それがほんの数万円で手に入るのだから。
これはクラシックのレコードに限ったことではなくロックやポップスのレコードにも言えることで、今後少しずつ書いていこうと思う。

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廉価盤 米国LONDONのTreasuryシリーズのマークのスコットランドのジャケ。

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その内袋。1970年代のレコードと思われるがffrrと耳のマーク。

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こちらは、1966年英国廉価盤のラベル。上部にFULL FREQUENCY RANGE RECORDING(ffrr)の文字。
こっちのレコードは、より細部がはっきりした素晴らしい音がする。

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そして、サヴァリッシュのシューマン。
このレコードはETERNA盤を黒青合わせて4組ほど、英国EMI2組、独ELECTROLA盤も2組、SUPRAPHONE盤、国内盤などを聴いてみた。
こちらはまた別の機会にまとめてみようと思う。

プレヴィン&LSOのラフ2をアナログLPで聴いて思ったこと

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ラフマニノフ:交響曲第2番 完全版
アンドレ・プレヴィン:指揮
ロンドン交響楽団
(1973年録音 英EMI ASD 2889)

このレコードでの音の印象は低音がずっしりと響いていて聴こえるべき音が自然に鳴っている感じ。ロンドン交響楽団の少し仄暗いトーンと重厚な響きがきっちりととらえられている。弦も決してささくれ立っていないし弦バスやチューバも生々しく豊かに響く。左奥にはティンパニもちゃんと見える。オーケストラが一体となった時の音楽のうねりまで伝わってくる。
それに対してCDの音は音像が遠くて高域から低域までがまんべんなく聴き取れるが細くて平面的だ。

CDで音楽を聴き始めて何年か経過したころにうすうす感じてはいたのだが、特に1950年代から1970年代に録音されたものはレコードの方がより自然で音楽的に鳴るものが多く存在するように思う。特に古い録音テープにはヒスノイズや高音のザラつきや歪みがある。当時の録音エンジニアやカッティングエンジニアは録音技術の限界というものをちゃんと理解していて、そういうことを全て織り込み済みで最善の形でレコードにしているように思う。如何に音楽的に本物らしく演奏家の息づかいや音楽のグルーヴを聴かせるか?そこにこだわったのではないだろうか。

あと、私がレコードを聴いていた1980年代の国内プレスレコードは外盤にくらべて音に格段の差がある。当時買ったレコードといわゆる外盤を聴き比べるのはある意味面白いがショックも大きい。特にクレンペラーの名盤などは当時外盤で聴いてていたら印象がずいぶん違っていただろうにと、本当に残念に思う。

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Esa Dia Va A Llegar / Agustin Pereyra LucenaのオリジナルLP

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ついに昨年2014年は一度も更新をせずに過ぎてしまった。
止まってしまいそうなブログだがまたぼちぼち書いていこうと思う。

昨年は結構な量のレコードを買い込んで聴いた。昨年はほとんどそれしかしていないぐらいで、ある意味これは病気というか中毒ですね。
そんな中での収穫の一つとしてアグスチン・ペレイラ・ルセーナの名盤「Esa Dia Va A Llegar」のアルゼンチンオリジナルLP(cabal LPN-11005)を入手できたこと。
このアルバムは以前ここで書いたように本当に素晴らしくて私のお気に入りの一つです。ジャケはいわゆるGatefoldという見開きですが薄くてペラペラしています。内側の若きアグスチンの姿がカッコイイです。ヴァイナルもわりとペラペラですが音は海外盤のレコードの特徴ともいえるナチュラルな低中域で各楽器の分離がよいとても聴きやすく生き生きしたサウンドです。すぐにCDと比較したくなるのですが、その差も歴然でやっぱりレコードが瑞々しくていい。いちいちレコードで何度も聴いてやろうかと思います。

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The Astrud Gilberto Album (1965)

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アストラッド・ジルベルトの1965年のアルバム”The Astrud Gilberto Album with Antonio Carlos Jobim“を当時のUSオリジナル盤で聴く。
手元にあるのはステレオ盤で盤面に”VAN GELDER”のスタンプが押されたレコードだ。
名エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーの手によってカッティングされたメタルマスターを元にプレスされたレコードであるということで一般的に音が良いと言われている。
ここ20年ぐらいずっとCDを中心に聴き続けてきた耳でレコードを聴きなおしているが、このレコード聴くことによってレコードというソースをもっと早くに見直すべきだったということを確信するに至った。少し大げさかもしれないが・・。
CDが悪いとは思わないし、CD時代のアルバムなどで素晴らしいCDはたくさんあるが、レコードの時代の音楽はレコードで聴くのがベストなんじゃないかなと。
ヴァン・ゲルダーのようにレコードのカッティングにまでこだわって作ったレコードはやっぱり素晴らしいものが多い。
アナログレコードに刻まれたアストラッドのヴォーカルは思っていたよりも輪郭がはっきりしていて太いし、マーティ・ペイチのオーケストラやジョビンのギターもより自然に響いている気がする。
もしかしたら、今まで聴いてきた他のアルバムも印象がまるで違う、なんてこともあるんじゃないかと思ってしまう。
念のため、あくまでも僕の個人的見解なんですけどね。

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GETZ / GILBERTO (1963)

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GETZ / GILBERTO 」を1963 年USオリジナル盤で聴く。
1曲目「イパネマの娘」出だしの「D♭69 / A♭」のボワッとした仄暗いコードとジョアンのスキャットはこれぞボサノヴァといった趣だ。
2コーラスめでアストラッド・ジルベルトが歌いだすとガラッと雰囲気が変わるのも面白い。
僕がアルバムの中で一番好きな曲は3曲目のアリ・バホーゾの「Pra Machuchar Meu Coracao」。
ぼそっと歌い始める感じがすごくよくてメロディーも切なくてとてもきれいだ。
「ヂザフィナード」でひっくり返してB面、「Corcovard」「So Danco Samba」「Vivo Sonhando」など名曲の歴史的セッションが続く。
ジョアンとアストラッドのいい意味での脱力系のヴォーカルに対してやや暑苦しい節回しのスタン・ゲッツのサックスとの対比も面白い。
若い頃は、スタン・ゲッツが吹き出すと思わず笑ってしまったが、今は不思議としっくりくる。

聴いているのはSTEREO盤なのだが、やっぱりCDに比べて音の輪郭がはっきりしているように感じる。
僕の手持ちのCD(314 521 414-2)と明らかに違うのはベースの定位だ。
CDではRチャン後方から全体にボワッと広がるように鳴っているのだが、このレコードではLチャンに振られている。
Lチャンにミルトンのドラムスとベース、センターにジョアンのヴォーカルとスタン・ゲッツのサックス、Rチャンからアストラット・ジルベルトのヴォーカル、ジョアンのギターとジョビンのピアノの配置。

でもボサノヴァとかジャズはレコードで聞くのがいい。
今からちょうど50年前の1963年のレコードだからチリパチの量も他のレコードより少し多めなのだが不思議と音楽の邪魔にならない。
家人がレコードを聴きながら「雨が降っているみたいね」と言った。

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Antonio Carlos Jobim / A Certain Mr. Jobim (1967)

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ドイツ人名アレンジャー、クラウス・オガーマンによるオーケストラ・アレンジとジョビンの英語ヴォーカルが楽しめるこの季節にぴったりの一枚。
1曲目の「Bonita」から疾走するボッサ・ギターとドン・ウン・ロマンのリムショットとスネアのコンビネーション、そしてオガーマンのストリングス、フルートをはじめとするオーケストラアレンジがカッコよすぎてため息がでる。
この頃のレコーディング・セッションの写真にはスタジオでジョビンがギターを持って写っているものが多い。
アルバムのライナーにもジョビンがRomeo di Giorgioを持ってスタジオ入りしたといった記述があるので、おそらくこのアルバムではジョビンがギターを弾いているのだろう。
「デザフィナード」「サーフボード」「Outra Vez」「Estrada do Sol」「黒と白の肖像」などメロディアスな名曲がズラリと並んでいる。
この後あのCTIの名盤「Wave」へと続くのだが、僕はこっちの方が好きかもしれない。

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ちなみにこちらは、1981年の米リマスター盤LP。
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聴き比べてみてすぐにわかるのはドラムのリム、スネアの音がクリアになっていること。
音楽の素晴らしさは十分に伝わってくるし、全然悪くないが音がクリアに整理されている感じがする。
何度も聴いているうちにオリジナル盤にある音のくぐもりは、単に当時の機材に起因するものではないような気がしてきた。

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